情報の取扱いをめぐる新しい課題や問題は、日常的に発生しています。こうした変化は法の世界にも大きな影響を与え、情報に関する法制度が発展してきました。
私自身は、プライバシー・個人情報保護法を中心に、情報の取扱いをめぐる法的諸問題を比較法的に研究してきました。最近では、競争法や消費者保護法、AI(Artificial Intelligence)に関するプライバシー問題にも取り組んでいます。
ここ数年間は、EUのGDPR(General Data Protection Regulation)に注目が集まり、2019年1月23日に、EUから越境データ移転に関するいわゆる「十分性認定」を受けたことは、日本の個人情報保護制度の信頼を高める大きな契機となりました。GDPRの影響は世界に及び、個人情報保護法制を整備する国が増加しています。日本では、2020年、2021年と個人情報保護法を連続して改正し、包括的な法制度を実現しました。
こうした動きに加え、EUは、いわゆるプラットフォーマー規制やAI規制にも力を入れており、その動向が注目されています。
新たな問題を考えるに際しては、目先の問題に目を奪われることなく、大局的に事象を捉えること、情報をめぐる世の中の動きに常に注目していくこと、国際的な動向に配慮することが重要です。
そして、社会分野としての法学に携わる者としては、研究教育活動や対外活動等を通じて、社会に貢献するためのどのような提案をすることができるかが、研究者の価値を決めると考えています。
2021年10月更新